『すみれの花束をつけたベルトモリゾ』世界の名画と共に観る服たち -エドゥアール・マネ-

アートの観点から服をみるおはなし。
今日は黒色に着目し
エドゥアール・マネの『すみれの花束をつけたベルトモリゾ』を
選びました。
画家 :  エドゥアール・マネ 
制作年:1872年
所蔵:オルセー美術館
 エドゥアール・マネは
近代化するパリの情景や人物、伝統的な絵画の約束事にとらわれずに描き出し、絵画の革新の担い手となった画家。
印象派の画家にも影響を与えたことから
印象派の指導者あるいは先駆者として位置付けられる。
 
 
黒という色を使うのは簡単に見える
数ある色の中でも扱いの難しい色。

同じく19世紀フランス印象派画家である
ピエール=オーギュスト・ルノワール曰く
「黒は全ての色の女王」だという。

昨日は表現派の「白いブラウス」を着た女性の絵画に
ついてのコラムを載せましたが

黒いドレスを着た画をさがして
ちょうど対照的な印象主義のマネの絵画
『すみれの花束をつけたベルトモリゾ』に。

昨日の絵画の女性とは地位も感情も対照的に

帽子やドレスから察するにも、
お嬢様であるし実際にそうである。

ダークな黒を纏っているけども前向きさや聡明さを感じる目の表情。
それもそのはずで、
女流画家としても有名なベルト・モリゾの肖像画である。
ちなみに
19世紀では、高級感という印象から上流階級で
黒色の衣類が人気になり、男性のタキシードや礼服が黒に変わる。

マネとルノワールは
本来、他の印象派の中では色として見なしておらず使用しない
「黒色」を多用していました。
無彩色であり、影や闇を表現するための黒を
"陰の色"として使わず

"陽の色"とし、ひとつの色彩として使っている。

この2人の黒の表現の仕方はまた異なり
マネがハッキリとした輪郭のアウトラインで凛とした力強さを感じるが、
例えばルノワールの

『シャルパンティエ夫人とその子供たち』をみても

わかるように、

柔らかなアウトラインで幸福感に満ちた画風である。


制作年:1878年 
所蔵:メトロポリタン美術館

同じ「色」でも使いや表現したい方向性によって
ここまで印象が変わるということ。
本来は多用されない、むしろ敬遠されてきた色。
黒色の変革は現代ファッションに始まったことではないのだが
悪魔や闇、死、など恐怖の象徴だった「黒」
染色技術が向上し始めた16世紀に
重厚さが尊重されるようになり
キリスト教プロテスタントの司祭服や喪服として定着した。


「黒使い」の歴史が印象に残る世界的なブランドは

ココシャネル
コムデギャルソン
 ヨウジヤマモト 
いずれも意味や理由は違えど、「黒の衝撃」である。

現代では女性も
黒色を着ることは、当たり前となった。
そのかわり
すっかり当たり障りのない色にも
なってしまった。

まだオンラインショップには載せていないけど

"Mille" Organic Cotton Dress-Zero White-

の色違い、漆黒-COAL BLACK-をつくった。





あえて私は

後染めで京都紋付の漆黒に施しなおしたドレスのために
この文章を書き、絵画を選んだ。

絵画の情景に重ね、真っ白さはキャンバス。

私にとってのデザイン、ファッション、洋服というのは

アート、芸術とも似よる考えに基づいているということを

伝えておきたい。

 

 


元ボディとなる純白のオーガニックコットンドレスのカラーネーム

「Zero white」は、2021年の

Pantone of th year に指定されたものからつけている。

時代背景に新型コロナウイルスの影響があり


「ゼロ」から考える
真実を見抜く「知性」
「清廉潔白さ」「清潔さ」と考え
白紙に戻すなど「はじまり」を示す言葉によく使われる「白」
希望を胸にゼロから考えるなどという意味を込めて

「Zero White ゼロホワイト」と名付けたという由来の思いも込めて。

 

さて、

黒色の衣類は着ていて楽だ。

汚れも気になりにくく
やたらと服そのもの自体が目立つこともないが、

当たり障りのない理由ではなく


黒色の服を
「なんのために?着るのか」を
ぜひ考えてほしい。

陰の色味になれない、言葉上無彩色であり、

色とも認めてもらえない重厚感ある黒色は


「無難だから」「終わりの色」という理由で
選ばれる存在ではないと思っている。

「この色=〇〇のイメージ」の定型文は
制服としての役割ファッションの時だけで十分ではないかな?

と考えている。

 



ひとが役割という鎧の洋服を脱ぎ捨てたあとに

ずっと纏っていたいものは裸の心で在れる
服、色、姿、であるはず。

 

社会の役割としての洋服ではない時

あなたはどんなメッセージを色や洋服に込めて

選んだり、着ていますか?

 

無意味で、もしかしたら、狂気じみて

誰も理解しないかもしれない、

そんなことを

たまには考えてみるのも、良いかもしれませんね。

 

 

  

Written by 代表/デザイナー 星子

Instagram @seicoxing

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